人間同士のスポーツでは,力の強い,技術が優れているチームでも100回試合をして100回そちらが勝つということはない。4番打つバッターを集めた野球チームが,100戦100勝することは絶対ない。優秀なコーチがいるアメフトのチームなら特に,相手にアジャストすることで戦力差をあっさりと克服することもできる。相手がコンピュータなら,その対応はまだ人間相手より楽,なのだけど,そのラスト・チケットはあと1枚ぐらいしか残ってなさそう?
quote:世界ランク1位のチェス名人,ガリー・カスパロフ氏とコンピュータ「X3Dフリッツ」との対戦の第1試合は引き分けとなった。カスパロフ氏は3Dメガネをかけて表示されるバーチャルリアリティ画面が気になってしまったと認めた。試合は残り3試合あり,勝者には賞金20万ドルが授与される。
試合前の解説はWIRED NEWSの記事で。その解説を読んで感じるのは,人の長所は相手に合わせることができる,ということに尽きてしまうのだろう,ということだ。コンピュータには型がある。もちろんその型はどんどん増えて広がっているんだろうけど,プログラマのプログラムした型を忠実にたどる以外のことはしない。つまりその型を外せば,勝ちが転がってくる可能性が高まる。真っ正面からその型に沿って勝負をしたら負ける。絶対負ける。コンピュータは,その型のなかでは間違いをおかさないからだ。
最初はなんとか引き分けに持ち込みながら相手の動きを把握し(そこは世界1位の力を発揮してもらって),次第に相手にアジャストしていく。だけど,その戦術がいつまでも続くとも思えない。アジャストしてきた相手にまた的確にアジャストし返す術を積み重ねていけばいいのだ。もちろん,それにさらにアジャスト,…と続いていく。その相手に対する対応の幅が最後の鍵,と感じる。人を超えるのは,それほど大変ではないんだろうな。(第2戦14日午前3時,第3戦17日午前3時,第4戦19日午前3時,WIRED NEWSのページのFLASHでライブ中継)
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